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近畿大学 生物理工学部 遺伝子工学科 発生遺伝子工学研究室

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近畿大学 生物理工学部
遺伝子工学科 発生遺伝子工学研究室

山縣一夫 先生


研究についてお話をお聞かせください。

ほ乳類の受精前後における細胞核や中に含まれるDNAの変化に興味があります。

なぜたった一つの細胞が正確に増え、そして生き物と言う複雑なシステムを作り上げることができるのか?
そしてどのようにそこからまた一つの細胞を作り出して次の世代につなげるのか?
学生の頃からずっとそれに興味をもって研究に取り組んできました。

受精に関わる研究は、関連する分子を見つけ遺伝子ノックアウトなどでその機能を推察するいわゆる「要素還元的アプローチ」が多く用いられてきました。これにより、特定の分子の重要性が明らかとなります。
一方で、受精や発生に対して「なに」が「いつ」「どこで」「どれくらい」関与しているのかを詳細に明らかにするためには、新しい方法論が必要と考えました。
そこでわれわれのグループは、ライブセルイメージングをもとにした

yamagata_1.jpg近畿大学
山縣一夫先生

「計測的アプローチ」により、受精前後の細胞核で見られる様々なイベントの時空間的特徴量を定量化し、さらに「再構成的アプローチ」により受精卵の細胞質内で“人工”核を造り出し、それを“天然”核と比較計測することで、受精卵における細胞核の時空間的変化の機構やその意義を理解する試みを行っています。

 

これらの研究は、マウスやウサギといった実験動物からウシなどの家畜動物、そしてヒトに至るまでを対象に行っています。
竹原美紀子研究員(高度生殖医療クリニックより出向)や八尾竜馬研究員(生殖補助医療関連製薬会社より出向)と共に研究を進めており、開発された技術や得られた知見を生殖補助医療や家畜繁殖学へ貢献することも視野に入れています。

 

最近、受精後の卵割中の染色体分配異常が発生に対して影響があることや(Yao et al, Sci Rep,2017)、DNAを結合した微小ビーズをマウス受精卵に導入することで“人工細胞核”の構築に成功した例(Suzuki et al,Sci Rep,2019)、マンモス冷凍死体の組織片から細胞核様構造物を回収し、マウス卵子内で細胞核形成に成功した例(Yamagata et al,Sci Rep,2019)などを報告しました。


観察しているものはなんですか?

  • done_all哺乳動物(マウス、ウサギ、ウシ、ヒト)受精卵、マウスES細胞などです。

撮影画像と動画

マウス受精卵のライブセルイメージング画像

Dr.Yamagata_photo.jpg
蛍光色素 EGFP-α-tubulin(励起波長:488nm)、Histone H2B-mCherry(励起波長:561nm)
対物レンズ 60倍シリコン侵レンズ(UPLSAPO60XS、オリンパス)
Zスライス:92 µm (2µm/46枚)
撮影時間 4日間・5分間隔
共焦点ユニット マイクロレンズ付ニポウディスク式スキャナユニット(CSU-W1、横河電機)
カメラ EMCCDカメラ(iXon 888、ANDOR)
ガラスボトムディッシュ MatTek社製 型番P35G-1.5-14-C

マウス受精卵のライブセルイメージング動画

選択のポイント


MatTek社製品を使用する前にどのような課題を抱えていましたか?

  • done_allガラスボトムディッシュに含まれる高い細胞毒性のせいで、長時間のライブセルイメージングが困難でした。


MatTek社製品をお知りになったきっかけとお選びになった理由をお聞かせください。

  • done_all世界中のメーカからガラスボトムディッシュのサンプルを取り寄せ、マウス受精卵の培養試験やライブセルイメージングを繰り返しました。その中でたどり着いたのが、MatTek社のガラスボトムディッシュの、しかも「とあるロット」でした。
    MatTek社のものは他メーカに比べて全般的に低毒性でしたが、なぜかあるロットだけ極端に細胞毒性が低かったです。
    当時、そのロットを買い占めましたが、今は残念ながら使い切ってしまい、目的ごとに他メーカに浮気するなどの対処をしています。

成果


MatTek社製品を使ってみて評価できる点をお聞かせください。

  • done_all他社のものと比較して明らかに細胞毒性が低く、数日間に及ぶような受精卵の長時間観察にも耐えました。
    素晴らしいことに、観察後の胚を偽妊娠マウスに移植したところ、健康な産子を得ることができました。
    他のメーカのガラスボトムディッシュでは、観察途中で胚が死滅したり、移植しても産子が得られなかったりと
    程度の差はあれども毒性がありました。

今後の課題


MatTek社製品について今後改善すべき点をお聞かせください。

  • done_all毒性はかなり低いのですが、決してゼロではありません。対照区としてプラスチックディッシュでの培養と比較すると、
    微妙ですが明らかに発生に遅れが生じています。しかもその程度にはロット間差異があります。
    今後、その毒性の実体を明らかにし、対策が必要かと思います。
    また、残念ながら同社メディカル製品と比較すると品質管理の基準が低いと思います。
    基礎研究は再現性が大事ですので、メディカル製品同様の品質管理をお願いできればと思います。
    しかし、意外にこういう対策は諸刃の剣になることもあり得ますので、低毒性は損なわないよう慎重にお願いします。


近畿大学 生物理工学部 遺伝子工学科 発生遺伝子工学研究室

山縣一夫 先生

yamagata_2.jpg近畿大学 生物理工学部
遺伝子工学科 発生遺伝子工学研究室
山縣一夫 先生

  

【略歴】

平成12年 筑波大学 農学研究科 博士後期課程修了 博士(農学)

平成12年 大阪大学 遺伝情報実験センター 日本学術振興会特別研究員PD

平成15年 筑波大学 生命環境科学研究科 講師

平成19年 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 研究員

平成23年 大阪大学 微生物病研究所 特任准教授

平成27年 現職、近畿大学 生物理工学部 准教授


 

導入製品の特徴(P35G-1.5-14-C・P35G-0-14-C・P35G-1.5-10-C)

35mmディッシュ
ガラス№0(0.085~0.013mm)・№1.5(0.16~0.18mm                   
測定ホール10.14mm

山縣先生がご利用されている製品はMatTek社のガラスボトムディッシュの中で最もポピュラーなタイプとなります。
シリコンレンズの時にはNo.1.5をオイルレンズの時にはNo.0というように対物レンズにより使い分けをされているそうです。


研究室プロフィール

 

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大学学部 近畿大学 生物理工学部
研究室 遺伝子工学科 発生遺伝子工学研究室
導入製品 P35G-1.5-14-C・P35G-0-14-C
P35G-1.5-10-C
住所 〒649-6493 和歌山県紀の川市西三谷930 
URL https://www.kindai.ac.jp/bost/

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